2018年04月30日
三本柱-5
その男は突然、何の事前連絡も無くやってきました
様々な取引メーカーの担当者の来店が増えていたり自分はスタッフの育成や経営の為の管理業務に日々忙しく追われていた毎日
信頼していたスタッフの1人がちょっと会って多分損は無い人が来てます、と相当な急な要件が無い限り自分のスケジュールが乱される事が嫌いだった自分の作業場に声をかけにきました
呼びに来たスタッフが彼で無ければ多分門前払いしていたと思いますが、彼の表情を見て自分は売場に降りました
そこで会ったI氏はこの先の自分の仕入感覚に大きな変化を与えてくれました
彼は名刺を自分に渡して会話をスタートするなり、開口一番、
社長あんたどこで勉強してこんな田舎に合わない店創りはった・・・?
社長じゃ無いけど・・・笑
社長が創ったんでっか ?
いや、売場は自分の手造りと業者との協力をいただいてですが・・・
九州ほとんどの売場にお邪魔して回ってるけど、野口さんは宮崎のお店はスゴいけど都城はやり方が古いって聞いてたんで仰天ですわ
面白そうなおっちゃんやなあ
彼の興味は何でこんな田舎の街にハイセンスな内装、外装を施したスポーツ店にしたのか・・・という点
アパレルが仕入のこだわりにあり、スポーツブテックの分野を強くしたい方向性にこだわってきた事等を話すと
彼はこう話始めます
アパレルもいいけどこれからスポーツ業界には必ず黒船がやって来ます
その波に乗れなければステップ、ホップ、ジャンプの進展はありませんよ
九州は相当に遅れてますから・・・
この商品見た事あります ?
バッグから取り出した商品はナイキのエアジョーダンとリーボックのポンプフューリー
感性の優れたスタッフの彼が自分を呼びに来た理由を瞬時に自分は判断しました
自分は大阪、東京に仕入に行く際に様々な店を勉強に見学に寄っていたんでそのブームの兆しは知ってました
ただ九州はそのオヤジが言う様に仕入の枠もその配分も情報も相当遅れていて当然卸問屋の担当者から得られるハイレベルの情報は全く無い時代
販売してみたいその喉から手が出るほどに欲しいシューズは原価で定価の1.5倍
絶対に売れないと思いましたが売場にそれがある話題性に各1足づつ自分の自前で買わせていただきました
その後もこのオヤジは数ヶ月毎に当店に寄られる様になり自分と様々な情報交換をするようになりました
スポーツシューズに興味がある方ならご存じの様にその後スポーツシューズの大きなブームがやってくるのですが、ナゼ県庁所在地で無い都城の田舎で商品が配分され確保できるようになるのかは
その情報源に大きな理由がありました
正規なルートに加え、協同仕入という同志をまとめた個人輸入を確立する流れが大きな1つの柱となっていきました
その背景には亀山社中のような商社機能を小売店でやるという壮大な夢を語れる幕末の時代につうじるような盛り上がりがありました
藤間議長でした
ただそんな夢物語は、発起後数年で新しい大きなうねりに寄って揉み消されてしまいます
Posted by mtc at 11:44│Comments(0)